外資系メーカーへ転職して5年が経過しました。
年収が上がったり、有休休暇が比較的自由に取得できたり、コロナ以前から在宅勤務制度があったりとメリットも多いですが、デメリットも当然あります。
外資金融、外資コンサル、外資ITはまた異なる習慣や文化、企業体系があるかとは思いますが、今回は外資系企業のダメなところをお伝えします。
日系企業・外資系企業と比較し、自分にとってより合う職場・企業を探すきっかけとなれば幸いです。
すべての外資系企業がそうであるとは言えませんが、起こりうる可能性を考慮し、事前に避けられるリスクは回避しましょう。
1.組織・上司がよく変わる
日系企業と比較して、良くも悪くも人材の流動性が高いです。
個々人の入退社もありますが、会社トップやマネージャー陣の交代、グローバル主体での組織変更、事業の買収・売却、撤退なんかも考えられます。
慣れ親しんだ頃に関わっていた人が異動することも珍しくなく、その人が持っていた仕事がしっかりと引き継がれていないこともしばしば。
共に働く上司やチームによって働きやすさがかなり変わってくると思います。
特に上司が頻繁に変わると仕事の仕方・ルールを変えられ、自分自身を仕事を知ってもらうためにもコミュニケーションにかける時間が増えるでしょう。
良い捉え方をすれば多くの人と関わり、吸収する機会があるとは言えますが、徐々にドライになっていく理由にこういう背景があるのではと私は思います。
2.福利厚生
福利厚生も労働、生活、余暇の大きく3つに分類されると思いますが、労働にかかわる福利厚生は充実しているケースが多いようです。
語学力向上のための社内外の研修や、専門性を高めるための教育が代表的です。
生活・余暇に関する点は日系、特に日系大手企業の方がはるかに充実しているかもしれません。
私の前職の場合ですが、生活面の福利厚生としては家族手当や家賃補助、労働組合、マイカー・マイホーム融資支援制度がありました。
余暇にかかわる点ですと、保養所・会員制リゾート施設、団体契約フィットネス、遊園地やスポーツイベントの優待券など。
生活・余暇の面でもこうした複利構成は劣っているでしょう。
さらに、外資系企業の年収が高い理由の一つに、退職金制度が無いことがあります。
正社員枠で社保完備でない求人は見たことがありませんが、求人に記述があると思いますので、確認するようにしましょう。
3.年収
日系企業と比較して高年収と言われる外資系企業も、ある年齢や職位を境に年収が伸びません。
最近、日立製作所や富士通がジョブ型雇用やジョブ型人事制度を導入して話題になりましたが、外資系企業では職位に応じて従業員が持つべき能力やスキルがJob Description(職務記述書)=JDで明確になっています。
言い換えると、JDを満たせない人は出世する機会を失い、職位内で定められたレンジの上限までしか給与が増えることはありません。
変化の激しいこの世の中で常に自分自身をアップデートし続けられない人は、日系企業の様に年齢や勤続年数に応じて給与が上がり続けることはありません。
私はメーカーにいますが、IoTを使った新サービスやモデルチェンジした製品について学ばずに、定年のゴールテープを切れるように飄々と仕事をしている人も中にはいます。
年収を伸ばすためだけではなく、常に自分自身の専門性は磨き、市場価値を高める意識は持っておきましょう。
4.英語と出世
平社員で英語が必須なポジションは多くないと思いますが、マネージャー、特に部長・事業部長クラスになると海外へのレポートもあるため英語は必須になります。
言い換えると、どんなに仕事ができたとしても出世に限界があります。
一つ前に外資系企業の年収の話をしましたが、英語の出来・不出来と出世は密接な関係にあります。
英語はどの会社に行っても優遇される能力の一つのため、伸ばしておいて損はないです。
私のお勧めは日系企業で専門性を磨き、外資系企業へ転職してその専門性を活かしつつ英語力を身に付け、市場価値を高めてステップアップしていくことです。
以前キャリアを掛け算で考えてステップアップいく記事を書いたのでそちらも併せてご参照ください。
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5.時差を考慮して働く
本社がどこにあるかで変わってくると思いますが、時に時差を考慮した対応が必要です。
ヨーロッパであれば日本時間の夕方に、アメリカであれば早朝に打ち合わせが入る人もいるでしょう。
役職が上がってくるとこうした勤務時間外の打ち合わせが入ることも珍しくないため、スケジュール調整には苦労するかもしれません。
6.設計・開発は本社主導で代理店扱い
先程も申し上げましたが、私はメーカーで務めています。
しかし、製品の設計、開発、製造までは海外で行い、日本国内では出来上がった製品の販売のみを行います。
メーカーでありながら現地代理店の様な役割しか担えないことは技術系の方にとって面白味は薄れてしまうかもしれません。
しかし、日本主体でできることも多くあります。
全ての製品がそれぞれの国・市場に合致するとは本国も考えておらず、その国々独自で戦略・戦術を練るのは醍醐味の一つです。
少し飛躍した例ですが、「ネスカフェ アンバサダー」はネスレ日本発で起きたイノベーションです。
気になった方はこちらの記事もご覧くください。
日経Xトレンド:元ネスレ高岡浩三氏単独インタビュー「DXがヒットの形を変える」
まとめ
どれだけ探しても100点満点の会社は存在しないと思います。
どの様な環境に身を置けば自身の力を発揮しやすいのかを知り、それを模索しながら働きやすい環境を目指すのも転職の一つの醍醐味かもしれません。
年収を含めた好待遇な環境も大切ですが、長いキャリアの中でどの様にすれば専門性を高め続けられるかも視野に入れつつ、上記の様なネガティブな要素をも考慮して適正なリスクの範囲でステップアップしましょう。
最後に少し脱線した話になりますが、私の友人はフジスタッフという人材派遣会社で働いていたのですが、オランダのランスタッドという会社に買収されました。
入社して1年。英語も全くできないのに、上司がドイツ人になりました。
この場合は意図せず突然外資系企業へ転身した形になりますが、SHARPの例もあり、今務めている会社や自分の将来のキャリアの選択肢が必ずしも日系企業とは限らないかもしれません。