私は1年と経たずに退職した人を過去に1人だけ見ました。
ここでは仮に名前をタカシさんとします。
タカシさんは誰もが知る大手電気機器メーカーから転職してきた40歳くらいの方でした。
一方で、他部署から異動してきて一ヶ月くらいで圧倒的な存在感を出した人もいます。
仮に名前をケンジさんとします。
年齢は当時31歳。
今回の記事では、実際に私の部署にいたタカシさんとケンジさんを対比しながら、外資系企業へ転職しても失敗してしまうパターンを4つにまとめました。
主体性を忘れない
タカシさんを見ていてはっきりと思うのは指示待ち人間だったことです。
恐れずに会議で発言したり、積極的に仕事を取りに行く姿勢を感じませんでした。
これは私の会社の反省すべき点だと思っていますが、教育マニュアルや中途採用者へのしっかりとしたガイダンスなんて物はありませんでした。
最低限の人事的な説明と、組織の紹介が2日くらいあった程度ですぐに配属となり、文字通り即戦力として自分の持っている力を発揮する領域を見つけなければなりません。
積極的に自ら仕事をもぎ取るくらいの姿勢が無いと外資系企業ではNGだと思います。
主体性と聞くと少しハードルが高く感じますが、何をしなければならないか少し整理すれば誰でもできます。
step
1自分の状況を把握する
自分が何をしなければならないのか、何を期待されているのか、どんな役割を担うべきかを想像しましょう。
step
2上司・周囲に相談する
配属後、すぐに誰を頼るべきか教えてくれるはずです。
もし放置気味だったとしても、少し勇気を出して周囲の人に相談してみましょう。
あなたが転職して間もない方だとみなさん理解しています。
的はずれなことを言ったとしても仕方がないで済むでしょう。
「周りの人と接する良い機会だ」くらいに思って話しかけてみてください。
step
3まず実行してみる
相談してフィードバックをもらったら後はその内容を実行するだけです。
自らやるべきことを見つけ、相談し、実行する。
普段の仕事と変わらないと思います。
step
4報告する
実行した結果は上司や相談役の人に報告しましょう。
これを繰り返していくだけで、きっと多くの仕事があなたに来るはずです。
私が言うまでもありませんが、このホウ・レン・ソウを配属後すぐにできているだけで、必ずプラスに働きます。
存在感を演出する
一方でケンジさんは異動する前から積極的に移動先の部署に顔出し、
「これからお世話になるケンジです。製品のことは未だ何もわかりませんが、よろしくお願いします。」
とオフィスにいる全員に挨拶していました。
タカシさんは入社時に全員の前で挨拶したのが最後、前述の通り多くの人と関わろうとしていません。
私の会社は決して入れ替わりの激しい方ではありませんが、中途入社の割合は8割を超えています。
誰かが入社し、会社を去ることは珍しいことではありません。
私もそんな中の一人だったので、興味すら持たれていなかったと思います。
良くも悪くも、入社して間もない頃は注目されています。
私は前職の経験から泥臭いことしかできなかったので、誰よりも早く出社することを心掛けました。
こう見るとブラック企業に見えてしまいますが、まだ何も貢献していないあなたに対して会社は給料を払う契約をしているのです。
まずは円滑に業務を進めるための時間投資だと思い、以下のことを実行してはいかがでしょうか。
- その日の仕事内容の確認
- 部署名と名前、その人達の仕事内容の把握
- 日常的に使うツールと機能の棚卸し
- 略語の用語集を作成
- 扱う製品やサービス、顧客情報のデータベースチェック
- 定期的な会議、提出物は何があるか
これは外資系企業あるあるだと思いますが、とにかく略語が多いです。
その企業オリジナルの言い回しもあったりするので、略語をリスト化しておくと非常に便利です。
また、作成したリストは次に入社した人へ展開してあげればあなたの好感度も上がるでしょう。
巡り巡って自分のためになる、そしてやる気だけでもアピールするためにも少し早く出社し、存在感を演出してみるのはおすすめです。
組織の中での役割を認識する
それではまたタカシさんとケンジさんの比較に戻ります。
ケンジさんは配属前から自分の役割を十二分に理解していました。
それは営業として0から1へと昇華するビジネスを展開すること。
つまり、売上の全く無い領域からビジネスプランを立て、売上を作っていくという非常にチャレンジングな仕事を任されていました。
反面、タカシさんは技術者として何をすれば良いのか社内での自分の立ち位置が見えていませんでした。
それぞれの違いは自分が採用された理由・背景を理解しているかです。
例えば、もし中途入社が少ない組織であれば、中途入社の方に新しい風を取り入れたいと考えているかもしれません。
- 会社や直属の上司があなたに何を求めて採用したのか
- 入社前と後とでその理解の差は生じていないか
チームとして何が不足していて、そのために自分が何をできるかを察知し、自ら行動できるケンジさんの方が一緒に働きたいと誰もが思いませんか?
もしかしたらネガティブな理由があるかもしれないので、同僚をランチに誘い、気軽に聞いてみると色々教えてくれます。
働くとは「はたを楽(らく)にすること」が語源だというくらいですから、何で自分が他者に貢献できそうか答え合わせをしてみましょう。
私は誰もやりたがらない仕事から手を付けることをおすすめします。
既に誰かがやっている仕事だとその方と比較されてしまいますが、マイナスやゼロからのスタートであればあなたの評価は上向くはずです。
私の場合、同僚が嫌がっていた遠方への出張や、打合せ後に必ず飲みに連れて行かれる会社の担当から始めました。
これは仕事ができなくてもすぐに挑戦しやすく、社内でのリターンが大きと思いますので試してみる価値はあると思います。
得意なことだけに注目しがちですが、他者が不得意だったり、敬遠してたりする仕事を取りに行くのもアリです。
変化を楽しむ
外資系企業はコロコロ組織が変わります。
上司も変わります。
私は務めて3年で4回も上司が変わりました。
ケンジさんは環境が変えることで自分に新しい視点が持てて、自分の考えが広がることを楽しんでします。
できないことは素直にできないと言い、必要な時にサポートもらいながら、変化に適応し、自分の成長へと繋げています。
タカシさんは現在3社目の企業ですが、周りの環境に適応するのは少し時間がかかる方のように感じました。
転職先では過去の肩書は通用しません。
技術のプロとして、持っているスキル・能力で勝負しなければなりません。
世の中の普通・当たり前が明日には変化する可能性があり、変化のスピードがとても速い世の中です。
環境の変化を楽しみ、自分自身の成長へと繋げられる人が令和以降の時代を勝ち抜けると私は思います。
最後に
外資系企業は現在の努め先より魅力的な年収やポジションのオファーを得ることも珍しくありません。
あなたの年収が急遽1.2倍~1.5倍になるかもしれません。
ですが、そのポジションが自分が持っている能力を本当に発揮できる場所か熟考してみてください。
企業・自己分析をし、不明な点や不安な点は面接や転職エージェントに尋ねましょう。
どれだけ高年収だったとしても、自分が持っている力を発揮できない場所では長続きしません。
今回、記事の中で取り上げたタカシさんは入社して半年で退職してしまいました。
年収も確かに大切ですが、多様な価値観や文化を受け入れ、変化を楽しみ、半世紀続くかもしれないキャリアを楽しんだ人が人生を楽しめると私は考えています。
今回列挙したことはどの企業にいたとしても重要なことだと思いますので、少しでも何かの役に立てば幸いです。