外資系企業やベンチャー企業と聞くと、バリバリ働いてがっつり稼ぐというイメージがありませんか?
私はベンチャー企業で働いた経験はありませんが、友人から聞く話に外資系企業との共通点を感じました。
日系大手企業と外資系企業で働いた経験のある私が、ベンチャー企業っぽい点と双方での経験をすり合わせてみたところ、外資系企業はベンチャー企業と大企業の良いとこどりなハイブリット企業ではないかと思いました。
今回はその理由について3点にまとめたので解説していきたいと思います。
業務幅が広がる
外資系企業は決して多くの人が働いていないケースが多いと思います。人もすぐに入れ替わり立ち替わりなところがあり、仕組み・ルール化できていないこともよくあります。
スタートアップやベンチャー企業のように、少ない人数で多くの業務をこなし、なおかつ成果を求めていかなければなりません。
日系大手メーカーにいた時は組織も大きく、縦軸にも横軸にも多くの人が勤務していました。
ここで言う縦軸とは上司部下の組織図です。
簡単な例で言うと、私は新卒から営業職を続けていますが、営業目標に関する数字や勤務を管理する組織図になると思います。
一方で横軸とは他部署を指します。
同じ組織図内にいないけど、普段の仕事を支援する総務・人事部であったり、実際に売る物を製作、設計する工場や技術部が該当すると思います。
話を戻します。
どの外資系企業であったとしても、おそらく同一同様な組織になっています。
しかし、この業務の幅が縦にも横にも広いです。
言い換えると、一人でこなさなければならない業務が多いおかげで、経験できる幅も広がります。
- どこまでが自分の業務?
P&Gやネスレなど、外資系企業であったとしても日本国内に工場を持って現地で製造しているケースもあります。
しかし私の場合、日本国内に製造拠点が無いため、海外から製品を輸入して日本国内で販売しています。
受注した後、海外から国内に納めるまでを営業が管理する必要があります。
そこで必須となるスキルが貿易業務です。Incoterms、Invoice、B/Lなど、わからないことだらけでした。
おそらく日系企業であれば、貿易業務を管理する部署や営業事務的な人がサポートしてくれるでしょう。
外資系あるある
仮に外資系企業内にその業務を支えてくれる人が社内にいたとしても、グローバルからの発信で組織が変更することもあり、属人性が高い業務をしていた人が他部署に移った途端、「これ誰がやるの?」って業務も発生したりします。
以前はやってくれる人がいたけど、退職してから補充が無いといったケースもあります。
この様に、悪い言い方をすれば一人で雑多なことも何でもこなさなければなりません。
- これをチャンスと捉える
普段の業務の中で、一つ隣の部署、一つ隣のデスクの人がやっている業務をこなすことなんて本来やりたくないです。
営業として駆け出しの頃、先輩に怒られないように遅くまで無意味に残業していた時は何度もセールスマニュアルを読んだり、自分なりの虎の巻を作っていました。
結局のところ、その行為がどれくらい役に立ったかはわかりませんが、巡り巡って私の血肉になっていたのは確かです。
非効率な回り道をした時にふと気づくとそのおかげで自分自身の視野が広がったことが何度もありました。
面倒だな、やりたくないな、とネガティブな感情が芽生えた時こそ一歩踏み込めるように心掛けています。
欲しい本があった時、Amazonでポチることもできますが、本屋に行って購入する人もいますよね。
購入しようとしている関連図書が同じ本棚には並べられており、自分が購入しようとした本以外の本にも注意がいったり、結果としてより良いと思う本と巡りあった経験はありませんか?
私はそんなイメージを言い聞かせながら、面倒な仕事でもちょっとやってみようと思うようにしています。
本来自分のKPIと関係のない業務なので、優先順位をつけて時にはやらないという選択肢も重要です。
柔軟な労働環境
2020年4月現在、新型コロナウイルスの影響で多くの人が在宅勤務を強いられているとは思いますが、こうした在宅勤務は2016年の入社当初から既に整備されていました。
世の中にこれだけ多くの便利ツールがあるにもかかわらず日系企業の場合、特にITセキュリティーや人事制度に関する厳しさが目立ちませんか?
以前の会社では、スマホは情報漏えいに繋がるとして全員にあえてガラケーを持たしていました。
当然書類は判子がマスト。
一方で外資系企業は、個人や組織がパフォーマンスを向上させる仕組みや制度、ツールを柔軟に用意してくれる企業が多いです。
ベンチャー企業の柔軟さと、グローバルで展開している大手企業の合せ技がここにあると思います。
ハード・ソフトの両方のICT環境が整備され、それらを使用する前提の仕組みや受け入れる企業文化・組織体制が無いと機能しません。
セールスフォースや、マイクロソフトツール、アドビ、クラウド、Webinar、人事・総務全般支援ツールなど、ある程度の事業規模が無いと用意するメリットがないツールが多数用意されています。
時には小さなチームの規模で仕事をし、時にはグローバルと接点を持ってダイナミックに仕事ができるのは外資系企業の魅力の一つです。
小さな組織で大規模な組織運営
組織が肥大化するといわゆる大企業病化してくると思います。
- 意思決定が遅れる
- 保守的で成功を妬み、風通しが悪い組織
- 社内政治や社内調整、派閥が蔓延
ベンチャー企業のメリットは上記と正反対だと思いませんか?
- 意思決定が速い
- 積極的で失敗を恐れず、風通しが良い組織
- 社内政治や社内調整、派閥が無い
しかし、ベンチャー企業にはヒト・モノ・カネに限りがあり、大胆な意思決定ができなかったり、大規模な仕事を受けれなかったりします。
ですが、スピーディに、大規模な仕事ができ、自由に挑戦できる職場環境があればどうでしょうか?
個人が大きな裁量を持ってダイナミックな仕事ができるのはやりがいにも繋がり、外資系企業で働く上での大きなメリットだと私は感じています。
私の現在の会社には、日本国内の従業員数は決して多くありません。
しかし、世界的には大きな組織がついています。
- グローバルの組織を利用する
私がこのダイナミックさとボーダレスな組織感を最も感じたのは展示会を行った時です。
日系企業のように、展示会を運営できるような大きな組織を維持し続けるのは困難です。
付け加え、十分な運営ノウハウを持ち合わせていないため、支援を得ないと成り立たない国や組織も多数あります。
日常業務をこなしながら、展示会を運営するのはとても多くの人手が必要となります。
グローバルにはそうしたパワーバランスの異なる組織を、サポートしてくれる体制があります。
グローバルの専属広報が指揮を執ってくれ、各国のエンジニア達が日本で行われる展示会のために集約し、立ち上げを行っていきました。
私にとってこうして国境を超えて一体感を得られる経験はとても貴重でした。
色んな人と手を取り合って、一つの大きな仕事を行うのは大きな達成感があります。
まとめ
いくつかの事例をもとに、日系大手企業とベンチャー企業の双方の良い点を取り入れたのが外資系企業であると解説させていただきました。
外資系企業にも社内政治、社内調整が全く無い訳ではなく、自分の仕事を円滑に進めるための根回しや社内営業、結局のところ好き・嫌いで仕事をする人も多くいます。
しかし、外資だからと言って全てがドライな関係性で、論理的に組み上げられた結論だけをもとに仕事をする人ばかりではなく、人間味溢れる人もいると最後にお伝えしたいです。
また、私が当初転職活動を開始した当初、外資系企業は転職候補には入っていませんでした。
ただ漠然と外資系企業で働く=リスクと捉え、具体的に何がデメリットやリスクとなるかが見えていませんでした。
しっかりと理解せずに、外資系企業を選択肢から外すのはもったいないと思います。
あなたのキャリアを形成する上で、少しでも何かのお役に立てると幸いです。